今そこにある危機

ここ数週間、嚥下の調子が良かった主人。
昼は外食を楽しんできたのというのに、
その夜、そして翌日の朝昼は非常にむせが多くてヒヤヒヤしました。

夜はかなり気をつけて食事をした甲斐があって、ほとんどむせずに食べられました。
翌朝、ほぼ回復。
二人でにこにこ笑いながら食事を終えました。
ほっと一息です。
でも安心はできません。


何度も書いてきましたが、最も恐ろしいのがむせのない誤嚥(不顕性誤嚥)です。
これに関しては、かなりの回復を感じています。

ただ、食事以外の時間では唾液にむせたり、
痰がらみの咳は続いています。


むせ反応が出るのはとても大切ですが、
かなり苦しいものですし、体力を消耗します。

そして、続けてむせると食べるのを嫌がるようになります。


やはり主人は誤嚥性肺炎にかかるリスクが高いのだと改めて思い知りました。
食事は命の源、そして口から食べることは生きる歓びの1つではありますが、
嚥下障害を抱えた人にとっては、命の危険と隣合わせでもあるのです。

なので我が家の食卓は、笑顔の底に緊張感が漂う独特な雰囲気です。
私は暗殺予告されたVIPを警護するSPのように、主人の食べ方に目を光らせています。

「ゆっくり、少しずつ、よく噛んで、しっかり飲み込む」

おそらく毎食5回以上繰り返している言葉です。
声掛けすると一時的に改善するのですが、少しでも気を抜くと口いっぱいに詰め込んでしまいます。
正直、疲れます。
それでもやっぱり一緒に食べる食事は楽しく、豊かな気持ちにさせてくれるんですよね。

この間、久しぶりに主人が起きて来なかったので流動食を注入し、一人で食事をしましたが、
味気なくて寂しかったです。


主人のおかげで、私は40歳過ぎてようやく煮魚の作り方を覚えました。
近所の魚屋さんでブリのカマを切ってもらい、圧力鍋で煮るブリ大根や、
ナメタガレイの煮付けの柔らかさとおいしさときたらもう♪
主人と二人、うっとりしながら(笑)食べました。

いつまで、こうして食卓を囲むことができるでしょうか。

激しくむせるたびに、もうダメかなと不安になります。
これが最後の食事かもしれない。
進むべきか、引き返すべきか。
自問自答する毎日です。

でも、いずれは食べられなくなるでしょう。
その日を少しでも遅らせる方法はただひとつ、食べ続けることしかないと思っています。
噛んで、飲み込む力を落とさない。
嚥下のタイミングを忘れない。
これを毎日繰り返していくのが一番のリハビリ。
だって、それを繰り返して今があるんですものね。


『今そこにある危機』っていう小説がありましたっけ。映画にもなりました。
これはもともと憲法用語で『Clear and present danger:明白かつ現在の危険』なんですって。

我が家の『Clear and present danger』。
今日も全力で立ち向かっております。
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