終わりの始まり

去年の夏の軟体動物化から、一時はかなり立ち直ったのですが、
どうもおかしい。

箸が上手に使えないのもそうですし、
特に年明けてから、集中力が明らかに低下し、脱力、前傾、傾眠と症状が進んできました。

そして今朝、私は珍しくシンボリックな夢を見ました。


見知らぬ女性から小さな鍵がさしてある小さな錠の形をしたピアスをもらう夢です。
P1020821.jpg
だいたいこんな感じですが、錠の方は鍵を入れて回すと開くようになってました。
右の耳につけるように言われます。


目覚めた時に、ああ、これは何かを暗示している夢だと思いました。


そして朝食後すぐにうとうとしてしまう主人を見て、覚悟を決め、
デイサービスはお休みし、脳外科のT先生のところに行ってきました。





CTを撮ってもらった結果は、白質脳症の進行によるパーキンソン症状という事でした。

パーキンソン症状(手足の震え、脱力など)は私も感じていたので驚きはありません。
前傾姿勢もよくある症状だそうです。


白質脳症とは、脳細胞の白質(脳の深部)の細胞が壊死してしまう病気です。
主人の場合は薬剤性(MTX:メソトレキセートという抗がん剤)と放射線治療の後遺症が原因です。

主人の白質脳症は初発時の治療後数ヶ月で発現、少しずつ進んできました。
症状はそれほどでもありませんでした。
もっとも症状が出たとしても有効な治療法はありません。黙って見ているしかない病気です。


白質化の初期症状はふらつき、めまい、ろれつが回らない、認知症状ですが、
さらに進むと最終的には意識がなくなり、寝たきりになり、肺炎などで亡くなる方が多いです。
でも、そこまでいってしまうのか、途中で進行が緩慢になるかはお医者さんもはっきりとは言えない…。
というかT先生はあんまりネガティブな事は言いませんので、わかりません。


ただ、やはり主人に残された時間は限られている事を改めて実感しました。
すごく楽観的に考えても、この1年で寝たきりまで進む可能性は決して低くないと思ってます。
脳はかなり頑張り屋さんなので、多少のダメージをくらっても残った部分が代わりに働くようになりますが、
生きている部分が少なくなれば加速度的に症状が進むのは、素人でも想像できます。


PCNSLの患者さんや家族の方が読まれてショックを受けるかもしれませんが、
白質脳症は高齢(60歳以上)の患者さんで、放射線治療で全脳照射とメソトレキセート大量投与療法を合わせて受けた方に出やすいと言われています。
(メソトレキセート単独でも副作用として白質脳症が起きる可能性はあります)

恐ろしい副作用ですが、治療しなければずっと早くに亡くなってしまいます。
まぁ人生なんて遅かれ早かれ終わるのです。
ゴールは生まれる前から1つしかない訳で、ただそこへ至る過程が違うだけです。


主人の看取りに際して、私の望みはただひとつ。
俺の人生は山あり谷ありだった。良いこともあったけど、嘘もついた。人も傷つけた。
でも、今の俺は孤独じゃない。
人に愛されて、人として死ぬんだ。
そう感じられる場所で穏やかに逝って欲しい。
それだけです。

もう看取り?なんて思うかもしれませんが、
私の考えでは、看取りとはゴール地点から逆算して考えるべきもので、
どこでどんなふうに死ぬかを良く考え、はっきり周囲に意思表示し、それに向かって行動していかないと
きっと後悔すると思うんです。


もうしばらく『優しい嘘つき』でいるべきか迷いましたが、
家に戻ってゆっくりお昼寝した後で、私は主人に話しました。
徐々に、でも確実に身体が動かなくなる。
嚥下機能も低下する。
口からの食事ができなくなり、痰の持続吸引が必要になるだろう。
やがて意識がなくなり、完全に寝たきりになる可能性もある。
どこまで症状が進むかは分からないし、治療法もない。

いつまで在宅で看られるかは、私にも自信がない。
でも、あなたを見捨てることはない。
私にできることはただそばにいて、一緒に笑い、一緒に泣くことぐらいだけど…。


「確かにこれから症状が進めば、辛いことがたくさんあると思う。
 でも、そんな事を言っても仕方ない。
 私達にできることは、これからの毎日を大切に、笑って、楽しんで生きることよ」


主人はどこまで理解してくれたかな…。


夕食は何とか食べられましたが、量は普段より少なめですし、
スプーンをうまく使えないので途中で疲れてしまい、私がスプーンに食べ物を乗せて
それを口に運ぶというやり方でした。

11月ぐらいまでは普通に箸を使って食べられていたのに、です。

やはり進行が早い…。


悔しいですし、悲しいですが、後悔はそれほどありません。
あちこち旅行に行けたし、
何といっても半年以上続いた絶飲食状態から、毎日食事を食べるまで回復して、
毎日デイサービスで皆さんと楽しく過ごす事ができたのですもの。

願わくば、今年は海と、もう一度富士山を見に行きたいんですが、どうかな…。
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Comment

  • 2014/01/22 (Wed) 07:28
    まっち #- - URL

    淡々と綴られていますが、胸中はいかばかりかと思います。
    読んでいて、ドキドキしました。
    なんてことでしょう・・
    止めようがないなんて。

    いつもお二人の仲睦まじいお出かけを羨ましく、そして応援していました。
    海、見に行って下さい。富士山も。
    海と富士山両方なら静岡しかない。
    お二人一緒の時間が、1分でも1秒でも長く 楽しい時間でいられるように
    祈っています。
    私には、祈ることしかできません。

  • 2014/01/22 (Wed) 20:44
    ヤッチ #xsT3OhXE - URL

    『終わりの始まり』という記事タイトルを見て、私の好きな、かりゆし58の曲を最初に連想しました。

    読み進めていくうちに、PCをスクロールする手が途中で停まってしまいました。
    そして、最初から読み直し、今度は何度も何度も最後まで読み返しました。

    なにか言葉を…と思いましたが、結局言葉は見つかりませんでした。

    海に富士山、御主人と見に行けるとよいですね。

  • 2014/01/22 (Wed) 23:16
    みのねこ #- - URL

    >でも、今の俺は孤独じゃない。
    >人に愛されて、人として死ぬんだ。
    >そう感じられる場所で穏やかに逝って欲しい。

    mikomona様の全ての想いが込められているように思えました。

    おかけする言葉が出ません…
    お二人の穏やかな時間が少しでも続くことを祈ります。

  • 2014/01/23 (Thu) 18:31
    西の魔女ちゃん #mQop/nM. - URL

    ご主人はすべて理解されていると思います

    そして深く感謝されていると思います

    穏やかな優しい時間が過ごせますように
    心より祈っています

  • 2014/01/24 (Fri) 17:21
    おやぢパパ #- - URL

    言葉が見つかりません。

    突然?
    と思えるほど、ここ最近のmikomonaさんの記事からご主人の順調な回復ぶりを勝手ながら感じておりました。

    わかっていると言いながら、それを受け入れるのは並大抵のことではないかと思います。
    本当にお強いお二人です。

    これからのお時間をお二人が楽しく過ごされますよう、祈っております。

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